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旧作復刻によせて
1997.11月 平田弘史 記
この度、貸本時代の作品を復刻して頂くことになり、作家冥利に尽きる次第。まず、冒頭に、関係者御一同様に厚く御礼申し上げます。
これまでにも、復刻の話はあったのですが、当時の原稿は、すべて出版社の買い取り時代だったので、印刷所で「版」に取り込んだら「原稿」はゴミ同様で、賞品代わりに一頁の中のカットを切り抜いたり、或いは何頁ずつか読者に配られたりして、倉庫に山積みされてる原稿群は、最終的にゴミ処理された様なのです。
従って、作家の手元には一頁も残っていない有様なので、復刻も現存する本を原稿として、作業を始めねばならないのですが、描画部のみを美しく抽出するには、かなりの問題点を克服し難く、ついに放置せざるを得なかったのです。
ところが、急速なパソコンのグレードアップに伴い、周辺機器の性能も向上し、また、これらの機器が廉価になってきた事で、復刻可能な時代を迎えた訳です。
こうした時代に、今年(1997.2月)幕張メッセで開催されたMAC
EXPOで立野康一氏のお陰でお知り合いになれた塚崎健吾氏、加藤直之氏、加藤みゆき氏、また、松永日出海氏、戸田利吉郎氏、の方々の一致御協力によって、復刻委員会が結成され、浜松の鈴木晴芳氏、斎藤久美氏らの御助力のお陰で原本が、かなり集められ、復刻出来る事になった事は、誠に有り難い極みです。
作者自身としては、現在の作品もそうですが、過去の更に稚拙な作品を復刻する事は、嬉しい反面、あまり乗り気ではないのですが、皆様の熱い復刻心に感動しながら、感謝している次第なのです。
絵は稚拙でも、ストーリイは20代に理想を以て描いていましたので、今、改めて読み返して見ると、現在作品があまりに現実的で、理想を失っている様に思えてきて、反省させられます。
紙に印刷された原本は、いずれ、汚れ、破れ、虫食われ、或いは、所有しておられる方があの世へ行ってしまわれて、遺族の方には興味もなくてゴミに出したりして、段々と現存しなくなる、ものですが、これが「デジタル化」となると、そう簡単には、汚れ、破れ、虫食われ、る事はありません。
DATAのコピー保存は簡単に可能ですし、その気になれば未来永劫保存する事が出来るのですから、作者としては、とても嬉しい事に違いはありません。でも、簡単にコピー出来るが故に、「デジタル化」に携わった人々の労力も無視され、作者にも、一円の収入すら入って来ないと言う事態も含まれる訳ですが、ともあれ、デジタル化が復刻を可能にしたのは、素晴らしい事です。
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