日の丸文庫「魔像別冊単行本」完全復刻版 平田弘史劇画創世期傑作選 《全5巻》 ISBN 4-947752-60-2 C0979 平田弘史著 98年12月発行 A5判並製 5冊セット美装クロス函入 セット定価25000円
昭和30年代、貸本時代全盛期に20歳でデビューし、独自のリアルで細密なペンタッチで漫画少年の心と魂をゆさぶり一躍人気作家となった時代劇画の巨匠・平田弘史の貸本期最高傑作を厳選して5点完全復刻。
◎四十万石の執念 1960年(昭和35年)「魔像別冊・平田弘史特集」 平田弘史にとって記念すべき最初の長編単行本である。デビュー後間もない平田作品の人気に驚いた日の丸文庫が全国の貸本屋の強い要望に押され企画したもので、以降この「別 冊・平田弘史特集」は、同社のドル箱となっていった。 本書は、会津四十万石を棒にふった主君加藤明成と、諫言し脱藩した家老・堀主水の確執を描いたもので、主君のなりふりかまわぬ 狂気ぶりが読む者をゾッとさせる。平田弘史が好んで取り上げたテーマ=怒りがストレートに発揮された作品だ。 ◎復讐つんではくずし 1961年(昭和36年)「魔像別 冊・平田弘史特集」 平田弘史24歳の時の作品であり、平田劇画を語る時に欠かすことのできない最も突出した傑作である。復讐することの恐ろしさと無意味さ、そして愚かしさをダイナミックな画面 と爪の先までを描き分けたペンタッチが見る者を驚愕させ、そして腹の底にズシンとくるものを与える時代劇画の頂点の一つである。後に昭和44年、題名を『大地獄城』として少年週刊誌でリメイクされたのだが、残念なことにこの『大地獄城』は、原稿が人手に渡り、気がついた時には紛失してしまった。今では当時の雑誌上でしか見ることができない。同様に平田弘史の作品群の中で、貸本屋向けの単行本の原稿はほとんどが1ページも現存せず、また雑誌に連載された作品も相当数が行方知れずになっている。 ◎我が剣の握れる迄 1961年(昭和36年)「魔像別 冊・平田弘史特集」 作品の予告が出てから刊行されるまで実に長い間、我々は待たされた記憶がある。予告で何月頃と告知され、幾度も貸本屋のおばちゃんに催促するのだが、まだ刊行されていないとのことだった。今考えてみると、作者が締切りを守れず、ズルズルと出版が遅れたにちがいないのだが、その頃の我々はただただ刊行されるのを首を長くして待っていた。 ◎刀匠 1964年(昭和39年)「魔像・士魂物語10」 小林正樹監督作品「切腹」に感動した平田弘史が映画のモチーフを自分流に作り変えた作品だ。仲代達矢扮する浪人が切腹の場で自分の思いをとげる映画と、平田が描いた作品を比べてみるのも面 白い。武士としての生き方の矜持は、平田弘史の永遠のテーマなのだ。 ◎侍 1964年(昭和39年)「魔像・士魂物語12」 『刀匠』のすぐ後に描かれた作品だ。貸本屋向けの漫画単行本がいよいよ行き詰まり、刊行数が激減して先行きに不安を感じていた時代、青林堂から『ガロ』が創刊され、雑誌の世界へ劇画が移動を始めていた時代である。平田弘史の士魂物語は、この後5冊刊行され、その幕を閉じる。
〈解説・戸田利吉郎〉
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